再生エネルギービジネスの誤算
皆さんこんにちは。
少し前、大手電力会社5社が受け入れを一時制限する事態が起こり、混乱をきたしたこのビジネス。
当初は、初期投資に対する利回りが10%以上でしかも20年間買い取り保証という、
不動産投資家からするとちょっと夢のような話に皆さんも真剣に検討された方もいるかと思います。
政府からの認定についても、当時の電力不足事情から甘い内容のものとなっていたようです。
懸念としては太陽光パネル設置の土地の確保を初期設備投資が高額なこと。
でも利回り10%で20年とか買い取り保証という話を聞いてちょっと計算すると、かなりの利益が出ることが分かります。
それを当て込んで、勝負に出られた土地持ち農家さんも多い様です。
でも、先を見据えてよく考えられた方は、ある一つのシナリオが見えたはずです。
1)電力買取と言っても、設備面から限界がある。
2)もし、このうまい儲け話に多くの人が群がれば、電力会社の買い取り受け入れのキャパシティーを越えてしまう。
3)越えてしまうようなことが起きると、送電機能がマヒすることになるので、電力会社は制限を掛ける。
4)1事業者当たりの発電量を抑えるような規制事項が検討される。
5)当初の目論見との乖離が発生する。
結局このビジネスで勝ち組となったのは、一早くから国の動きをキャッチして、先行逃げ切りで準備を進め実践された、
太陽光パネル設置ブローカーやメーカーだったのではないでしょうか?
彼らはこうなることを「先読み」できていたのではないでしょうか?
目先のおいしい情報に目がくらみがちですが、しっかりその裏にある「もの」を見極める力を養いたいものですね。
以下は記事の抜粋です。
「再生エネ買い取り、岐路 太陽光急増で見直し」
スタートから3年目を迎えた再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)が岐路を迎えた。
太陽光などの設備導入が電力会社の受け入れ能力を上回るペースで進み、大手電力会社5社が受け入れを一時制限する事態に至った。
経済産業省は、10月から制度見直しに着手し、年内には対策の方向性を示す方針だ。
しかし課題は山積みしており、見直し作業は難航しそうだ。
FITは、太陽光などの発電設備を持つ事業者や個人が発電した電気の買い取りを大手電力会社に義務付ける制度だ。
価格は発電形態ごとに異なり、年度ごとに見直す。電気を売るには政府から認定を受け、大手の送電網につなげる必要がある。
買い取り費用は家庭や企業の電気料金に上乗せされる。
問題が表面化したのは9月下旬。
九州電力など大手5社が「受け入れ能力を上回る」として新規の受け入れを一時制限(保留)すると発表した。
事業者が主な対象で、一般家屋の屋根の発電設備は含まない。
背景には天候次第で発電量が変動する太陽光の弱点がある。
夜は発電できず、昼に発電量が増えすぎると送電線を流れる電流に乱れが生じ、停電するリスクもある。
そのため余った電力を他の電力会社に回すなどの対策が必要だ。
大手5社はすべての太陽光設備の受け入れと電力の安定供給を両立するには、送電網の余力が足りないと主張している。
経産省は制度の見直しに乗り出した。
当面の対策としては30日を限度に太陽光発電の事業者に無償で送電の一時停止を求める仕組みの拡大を検討している1事業者当たりの発電量を抑え、
新規参入の余地を増やす考えだ。大手各社の現在の送電設備でどこまで再生エネを受け入れられるかも検証する。
買い取り価格が改定される年度末には、高めの買い取り価格を目当てにした申請も殺到した。
こうした駆け込みへの対策として、経産省は価格決定時期を申請時から運転開始時期などにずらすことも検討する。
混乱の拡大を防ぐため、大規模な太陽光設備の認定を一時的に凍結する案も浮上している。
(2014.10.24 日経新聞より一部抜粋)
有難うございました。