ジムロジャーズが不人気な資産を買っている理由
本日は、大変興味深い記事を投稿します。
こういうところに未来の大いなる予言が隠されているのですね。
少し長文になります。
●「J・ロジャーズ氏が不人気な資産を買っている理由」
Why Jim Rogers is buying what everyone else is selling
2015年6月30日 WSJ (ウォールストリート・ジャーナル紙)
http://jp.wsj.com/articles/SB12090554170328684804804581079050758613340
ジョージ・ソロス氏とクォンタム・ファンドを共同設立し、オートバイで世界 を旅した体験記に投資的な視点を加味されたベストセラー
「冒険投資家 ジム・ ロジャーズ 世界バイク紀行」を著したロジャーズ氏。
最近、本紙のインタビューに応じ、世界の金融市場について語った。
ロジャーズ氏が筆者に株式相場が暴落すると警告した2008年以来、同氏が米国 株や世界の市場全般についてこれほど悲観的な話をしたのは初めてである。
以下を読めば、ロジャーズ氏が米国市場について言っておきたいこと、同氏が 金(きん)、国債、ギリシャ、日本、中国などをどのようにみているかが分かる。
Q:今は普通の時代ではないのか ?
A:現在起きていることは歴史的にも異例なことだ。過去数千年の歴史において、金利が0%だったり、マイナス圏に突入するなどということは一度 もなかった。
われわれは将来のために貯蓄したり、投資したりしている人々を滅ぼしつつある。
彼らは、仕事もしていないのに 4、5軒の家を 頭金(あたまきん。ダウンペイメント)なしで購入した人々の犠牲となって破綻しかけている。
われわれは、歴史上のすべての社会が最も必要としてきた人々に大打撃を与えているのだ。
投資をしたり貯蓄をしたりしている人々が大損害を被っているときは、その社会、経済、国には問題がある。米国はまさにそうしたことをしてきた。
将来のために貯蓄してきた人々のことを考えてみてほしい。
(まじめに生きている)彼らはバカみたいに見える し、バカみたいだと感じてもいる。
借金をしている友人たちは、彼ら(まじめな人間たち)の犠牲で救われているのだ。
Q:国債市場はバブル状態にあるのか?
A:バブル状態かどうかはいずれ判明する。
が、おそらくその状態にある。
株式市場が下落するためには何かが起きなければならない。
国債市場がみんなを震え上がらせれば、株式市場は下落するだろう。
前回の国債の弱気相場は1946年から1981年まで続いた。
1981年以来ずっと、国債市場は強気相場であり続けてきた。
国債価格が下がり始めると、金利は上昇する。金利は今後、もっともっと上がるだろう。
現在では考えられないような水準に達するはずだ。
どこまで上がるかは明言できないが、1981年の米国債10年物の利回りは15%以上だった。
現在、米国ではインフレが起きている。
しかし、米労働統計局はインフレなどないと発表している。
彼らは一体どこで買い物をし、どこの学校に子息を通わせ、どこで野球観戦をしているというの か。
インフレは世界中で起きており、米国だけの話ではない。
2015年6月という日付と共に、次のことを書き留めておいてほしい。
今のような低金利の環境は永遠には続かない。国債は長期間にわたって下がる可能性がある。
中央銀行の官僚たちもこれには恐れをなすだろう。株式相場が10〜13%下落するかもしれない理由もそこにある。
Q:米連邦準備制度理事会(FRB)は何をすべきか
A:FRBは国債の購入をやめるべきだ。適切な水準は金利や市場に決めさせるべきなのだ。このことは一部の企業の破綻を意味するかもしれない。
1990年代の初頭、スカンジナビア諸国は問題を抱えていた。スカンジナビア諸国は企業を破綻させ、1〜2年はかなりの辛酸をなめたが、再編を果たし、世界的にも最も経済 が堅調な地域の1つとなった。
その一方で、日本は企業を破綻させることを拒み、人為的な景気刺激策を取り続けた。そのせいで、 10年以上が失われてしまった。
人為的な景気刺激策はうまく機能しない。うまくいった試しがないのだ。経営に行き詰ったら破綻して、もう一度やり 直す、うまくいく方法はこれしかない。
Q:金(きん)についてはどう思うか?
A:金は調整局面にあり、この調整に入ってすでに4年が経過している。
私は現在、金(きん)を購入していないが、向こう1〜2年のうちに金(きん)の買い好機が やってくる と見込んでいる。
たとえば金が1トロイオンス=1000ドルを下回ったら、金(きん)を大量に買い増すのが賢明だと私は考えている。
1000ドルを下回ったら、と言ったが、別に根拠があるわけではない。
一般的に50%の調整が標準的というだけである。1000ドルを下回る前 に、金(きん)はバブル状態になるはずだ。過去を振り返ると、政府や通貨に対する信頼感が崩れたとき、人々は逃避先として金(きん)を選んできた。
問題の一端(いったん)は多 くの人々が金(きん)を神聖で神秘的なものだと考えていることにある。
金(きん)が下落すると、それだけで驚く神秘主義者もいる。
次に大きな問題が起きたら、政府、中央銀行、紙幣などに対する 人々の信頼感は失われるだろう。
金(きん)が最も上昇するのはそのときである。だがそれは、中央銀行が危機を乗り切るため にあらゆる措置を講じるときでもある。
Q:現在、あなたはどういった資産を買っているのか ?
A:私は中国、日本、ロシアの株式を買っている。
すべてアジア市場だ。私が米国株を買っていないのは、米国株が過去最高値を更新しているからだ。高値を更新している資産は購入する気になれない。
日本株は過去最高値から50%下げた水準にあり、安倍首相は無制限に紙幣を刷ると述べた。
安倍首相は株式相場を上げるためにさまざまなことをしている。
株式投資に税制上の優遇措置を与える法案も通過させた。
莫大な積立金を運用する年金積 立金管理運用独立法人(GPIF)を説得して国内株の運用比率を引き上げさせた。安倍首相は株式と投資界にプラスになることをたくさんしてきた。
しかし、私は円は買っていない。
日本には巨額の公的債務がある上に、紙幣が増刷されている。
どちらも通貨の価値を下げる要因だ。
短期的には投資家の ためになるが、長期的には日本をだめにしてしまうだろう。
日本の人口は減少しており、公的債務は限度を超え、通貨の価値は損なわれている。
こうしたこと が日本にとって良いわけがない。
Q:中国はどうか
A:中国は世界最大の債権国であり、中国株は過去最高値より30%も低い。
一方の米国は世界の歴史上最大の債務国であり、その株式相場は過去最 高値水準にある。
私は中国株をまだバブルとは考えていない。
しかしこのまま上がり続ければ バブルになるだろう。
中国国内では債務が数十年振りに積み上がっており、同国にとっては問題となるだろう、が、まだ限度には達していない。
意味のある調整が起きてバブルになりかけている市場が、適切な水準に戻 ることを願っている。
通常であれば、私はこの段階で売却する。
過去の経験が味方してくれるのではと思っている。
タイミングが的中すれば、バブルは素晴らしいチャンスとなる。
私は的中したことがない。
というのも、私は早めに売るので、その後も上昇してしまうからだ。
今回はまだバブルだと考えていないので、売 らずに保有し続けている。
兆候が出始めて1年ほど経つが、今も多くの人々が新たに(中国の株)市場に加わっている。
私が中国へ行って、企業の受付係が株の話をしていたら心配になるだろう。
そうしたことは悪い兆候だが、(それでも中国の)株価はさらに上昇し得る。
Q:ギリシャはどうか
A:ギリシャは余興に過ぎない。
政治家たちが過ちを犯し続けているので、メーンの出し物になり得る。
ギリシャにとって最善の道は破綻を宣言し、ユーロ圏にとどまり、やり直すことだ。
ギリシャが債務を完済することはないだろう。
米国にも破綻する州、市、郡があるが、そうした自治体 が米国を離脱することはない。
再編してやり直すのだ。
破綻したからといって離脱する必要はない。
ギリシャが破綻してユーロ圏にとどまれば、ちょっとしたトラウマとなるが、われわれは切り替えて前に進むだろう。
ギリシャが(ユーロ圏から)追放されるようなことになると、かなりの大事になってしまう。
Q:最後に言っておきたいことはあるか
A:2008年に問題が起きた(引用者駐。リーマン・ショックのこと)のはわれわれがあまりにも膨大な債務を抱えてしてしまったからだ。
現在、世界中の債務は当時よりも大きくなっている。
米国では、FRBのバランスシートが5、6倍になった。
世界には緊縮策を協議しながら(そのくせ)債務を増やし続けている国がたくさんある。
そうした国々にとって株式相場を押し上げる手段は増刷した紙幣しかない。
次回の金融危機はわれわれ全員にとってかなり苛酷(かこく)なものになるだろう。