アメリカで働く労働者の超リアル
皆さん、こんにちは。
誰もが知っている某世界最大のオンラインショッピングサイトのA-zonですが、
そのサービスを支えているものは、超意外ですが・・・・・・・
安い人件費で働く人々でした。
私はてっきりフルオートメーションかと思っていましたが、違うんですね。
何故フルオートメーションではないのか?
要は・・・・・
人件費の方がオートメーション化するよりもコストがかからないからです。
でもそこで働く人々は想像を絶する過酷な状況の中で労働をしているとの事です。
そもそも、何故そのような過酷な労働条件下で働くのか?
それは、アメリカの人口の実に3分の1は貧困層で、今日食べるものにもありつけるかどうか
だからです。
ちょっと信じがたいですが、これがアメリカのリアルです。
一方では、1泊何百万もする豪華ホテルに宿泊するセレブがいれば、一方は奴隷の様に
倉庫の中で働く人々がいるのです。
これが資本主義と言ってしまえばそれまでですが、本当に弱肉強食状態です。
でも働ける人はまだましです。
こんな過酷な状況の労働条件でも、空き待ち労働者が列を成して並んでいるとの事です。
そして、この現状は近い未来の日本の現状になる可能性が高いということを肝に銘じておきましょう。
ちなみに A-zonでの過酷な労働状況がどんなのであるか知りたいですか?
こんな感じだそうです。
◆雇用契約
マクリーランド氏が働いたのはミシシッピー州西部にあるA-zon倉庫で、雇用形態はA-zonから直接雇用されるというものではなく、
現地の派遣会社から派遣された契約社員という形であったとのこと。派遣会社の職員には「酷い環境だとしても決して取り乱してはいけません。
あなたの代わりの人はごまんといます。
あなたは、自分の尊厳を玄関に置いてから仕事へ向かう必要があります」と覚悟を求められたとのこと。
このときマクリーランド氏は自分は世界的巨大総合ショッピング会社が採用する4000分の1のちっぽけな存在に過ぎないのだと感じたそうです。
◆絶対的ルール
トレーニング初日に徹底してたたき込まれたのは「時間厳守」という絶対的ルールで、
無断欠勤は論外、遅刻でさえ解雇につながりうるということをマクリーランド氏を含む4000人は知らされました。
それは、遅刻時間によって0.5ポイント刻みの反則点が加算されていき、6ポイントたまると問答無用で解雇というもの。
一緒に働き出した60代の女性は「遅刻を恐れて夜ぐっすり眠れない」と話したそうです。
A-zonが掲げる目標は、「顧客サービスのさらなる向上」。顧客により良い体験をさせることが成長の重要な鍵であり、
その実現にはさらなる低価格化が必要で、それには非効率的なものを一切排除する必要があるということを従業員一同はたたき込まれたそうです。
◆職場環境
果てしなく広い倉庫は秋が深まる季節には寒く、私語が許されない環境も相まって非常に寒々とした空間であったとのこと。
その寒々とした空間でマクリーランド氏が与えられた仕事は、小型のハンドスキャナーを手に倉庫内を走り回り、目的の商品をかき集める「ピッカー」という役目でした。
実際のスキャナーは以下のようなものです。スキャナーには倉庫のどこに行くべきかが表示されるだけでなく、何秒で行くべきかさえ表示されるとのこと。
棚と棚の間を正確に移動して、目的の商品を素早くピックアップしたらトートバックに詰め込み、また次の商品を探しに向かうという作業が延々と繰り返されます。
すべて秒刻みのスケジュールはクリアするのが極めて厳しい時間設定で、水を飲む暇もないとのこと。
なお、新米ピッカーは長期間働いているベテランピッカーの75%の分量を集める必要があり、この基準に満たないと「カウンセリング」という名の指導が入るとのこと。
この厳しい作業についてマクリーランド氏は、スキャナーのプログラム通りに動くことを命じられた「使い捨て」の従業員にとって、
自分が何をやっているのかを理解する必要がないようにシステムが設計されていると感じたそうです。
時間を守るために必死に商品を集めるためにかけずり回るうちに、寒々とした倉庫でもTシャツやタンクトップ姿で作業する人が出てくるほど。
倉庫内の空調設備は費用がかさむため最小限で、暖房はもちろん冷房もなし。
マクリーランド氏は、長期間倉庫で働く先輩従業員から「夏はもっと過酷なので、この時期に働けるのを喜ぶべきだよ」と言われたとのこと。
なお、夏のA-zon倉庫内は想像を絶する過酷さであることは有名な話です。
2011年、ペンシルバニア州のA-zon倉庫では、脱水症状や熱中症で倒れる従業員が続出。
この対応にあたってA-zonは、空調設備を改善するのではなく倉庫の外に救急車と救急隊員を待機させ、
倒れて運び出された従業員に応急処置を施したり地域の病院に搬送したりするという処置を講じたことが、
Morning Callに掲載された告発記事で明らかにされています。
なお、同記事では、熱さに苦しむ従業員の中に妊娠中の女性がいたことや、A-zonが救急車だけでなく、
職場に復帰できない従業員の代わりの「新人」をも待機させていた実態が生々しく記述されています。
◆食事休憩
食事休憩時に食堂に向かうためには金属探知機をくぐる必要があるそうで、これは従業員が商品を盗み出せないようにするセキュリティ対策とのこと。
なお、食事休憩に与えられる時間は「29分59秒」。つまり、食事に30分かけるということは1秒の遅刻を意味するとのこと。
もちろん金属探知機をくぐるために列に並ぶ時間も29分59秒に含まれているため、
食事も慌ただしく済ませ、自分の持ち場に駆け戻る必要があり、また、トイレも数が少なくいつも長蛇の列で、
当然、この列に並ぶことを計算して休憩する必要があったとのこと。
◆ストレス
マクリーランド氏にとって、商品収集の作業の中でも特にストレスがたまるのが「本」のピックアップ作業だったそうです。
倉庫内は寒いと同時にとても乾燥していて、至る所に電子機器や金属製の棚があり、ベルトコンベアが作動し扇風機が回っているため、
常に大量の静電気がたまった状態であったとのこと。
中でも倉庫2階・3階の書籍フロアは特に乾燥していて、
フロア中をかけずり回りたっぷりと静電気をため込んだ状態のまま本をピックアップするときに金属製の棚に触れると大きな電気ショックを見舞われることになるそうです。
薄暗い場所では静電気が発生すると火花が飛ぶくらいで、
マクリーランド氏の同僚で棚の下にある本を取ろうとかがんだときに、うっかり額が金属棚に触れて電気ショックをくらい、失神した男性がいたとのこと。
帯電防止のコーティングが施されたマットがこの世に存在することをA-zonは気付いていないのかと恨めしく思うマクリーランド氏でしたが、監督者に静電気対策を提案してもなしのつぶてだったそうです。